6.内容等
21世紀の高齢社会を直前に迎え、医療費の高騰は、今日の社会的問題となっている。特に70才以上の高医療費疾患は、循環器系と筋骨格系のものであり、ともに運動療法などのスポーツ医学の関与する領域でもある。
また、要介護者の急増も、もう一つの問題であり、介護を要しないのみならず、介助の可能な体力のある中高年者が期待される世の中でもある。
それには、若い頃からのスポーツや身体運動による筋骨格系の発達とそれを可能にする施設や教育などの周辺環境のさらなる整備が要求される。
このような背景をもとに企画したシンポジウムである。
まず、内科的立場から腎機能、肝機能などに関して、健康な高齢者では若い人と比してさほどの低下は認められず、90才まで器官の健全さをいかに保つかが問題であることが述べられた。
整形外科的には、スポーツ障害をもたらさないようスポーツ活動が全身的な健康へ結びつくことが強調された。
体力学的な立場からは、高齢者の体力は段階的に低下する特徴があることが述べられ、高齢者を対象とした新たな運動プログラムの必要性が示唆されました。
会場では熱心な質疑がかわされ、さらに今後も高齢社会に備えての発育期の運動プログラムや教育行政のあり方など、関連したテーマでのシンポジウムを再度開催することを望む声が多く聞かれた。
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